「何の取り柄もない自分が、フランスでAuto entrepreneur(オートアントルプルヌール:個人事業主)になるなんて無理」などと考えている人はちょっと待ってください。
技術や能力がなくてもAuto entrepreneurになることは100%可能です。
私は6年間、大した能力がなくともフランスでAuto entrepreneurをやってきたので、この言葉に自信があります。
フランスの長期滞在ビザを持っていて現地でステータスがまだない人も、「とりあえずAuto entrepreneurになってから数か月後に収益がでる」という流れでも問題ありません。
というのは、フランスのPôle emploi(職業安定所)でも「完全無職なのであればとりあえずAuto entrepreneurになって、収入0ユーロなら0ユーロで申告したらどう?」などと勧めるケースもあるからです。
この記事ではその理由と、フランスのAuto entrepreneurになるための準備、手続き方法を紹介します。
以下の手順に従って、スムーズに起業の第一歩を踏み出しましょう。
Auto entrepreneurとしての職種や事業内容を決定
何も決まっていない人は仕方がないので、今後想定される事業内容で良いですが、Auto entrepreneurとしての活動を開始する前に事業計画を練り、必要な準備を整えることが重要です。
エンジニアやプログラマーなどIT関連の仕事であれば必要最低限の準備で済むため、起業にかかるコストは低い傾向にありますが、店舗運営などになると市場調査や競合他社との差別化のポイントを見つけておく必要があります。
Auto entrepreneurとしての活動を開始するためには、「事業名(個人名)」などを、企業登録センター(Centre de formalités des entreprises:CFE)に登録します。
これによりCFEが申請者に代わって、提出が必要な書類・情報を税務署や社会保険庁などに送付してくれます。
フランスのAuto entrepreneurに必要な税務関連手続きを準備
年に数回に分けて納税を行うAuto entrepreneurであっても、フランスの税務当局のウェブサイト「impots.gouv.fr」に各種情報登録を行い、それに加えて社会保障・家族手当保険料徴収連合のAuto entrepreneur向けサイト「autoentrepreneur.urssaf.fr」で住所・氏名・業種などを記入してオンライン申請することで、9桁の事業所識別番号と5桁の所在地識別番号で構成されたSIREN番号(14桁)が数週間で送付されます。
私も最初は「このアルファベットと番号は何だ?」と思っていましたが、日本の法人番号やインボイス番号のような位置づけであると認識しておけば大丈夫です。
「autoentrepreneur.urssaf.fr」でアカウントを開設したら、そこで1か月ないし3か月の間隔で収入を申告し、納税する形となります。
ちなみに日本企業などと取引する場合は、フランスとの租税条約がありますので二重課税や申告漏れに注意が必要です。国際的な税務内容についてはかなり複雑になるので、曖昧なまま続けて税務調査が入る前に税理士さんに今すぐ相談するべきです。
私は「税理士ドットコム」で国際的な税処理を専門とする税理士さんが見つけられました。検索も簡単ですし、みんなの税務相談でも簡単な内容なら無料で対応してもらえるので、是非利用しましょう。↓
Auto entrepreneurでも健康保険・年金への加入が可能
Auto entrepreneurを含め、個人事業主・自営業者が加入する健康保険は、2020年1月ごろまで「RSI」というものでしたが、現在は「CPAM」になっており、日本の健康保険証にあたる「Carte Vital」を使い、医療費の還付や病気休業時の補償を受けることとなります。
フランス国民同様、長期滞在する方は国民健康保険Sécurité socialeに加入していることと思います。
健康保険への加入はameli.frにある「Demande d’ouverture des droits à l’assurance maladie」の書類に記入し、必要書類を揃えて社会保険事務所「CPAM」へ提出に行きます。
・パスポート
・滞在許可証
・IBANコード(医療費の還付は銀行口座に入金されるため)
・戸籍謄本(翻訳文の添付が必要)
基本的には以上の書類で良いのですが、ここが「フランスあるある」で担当者によっては更にほかの書類を要求してくるので何度も挑戦する心持ちで臨むと良いです。
Auto entrepreneurも年金への加入が可能
Auto entrepreneurとして年金への加入も可能で、自ら先立って申請することも可能ですが、事業開始から一定期間経過すると年金加入を促す手紙が届くこともあるので、そちらの用紙に記入して返送することでも加入手続きが進められます。
日本に完全帰国することがあれば、日本の年金加入期間をフランスのものと合算をして、年金を受給することも可能なほか、フランスの年金を受け取りながら日本の年金を受け取るなど、様々なケースが考えられます。
自身の状況・将来を考えて年金の納入を進めていきましょう。非居住者の方でも完全帰国後に年金を受け取る方法などについても記事を書いていますので、気になる方は以下のリンクからお読みください。↓
Auto entrepreneurになったあとの手続きや注意点などを紹介
ここまでAuto entrepreneurになるための手続きなど紹介してきましたが、事業展開してからも様々なことが起きます。
有り難いことにフランス在住の方からX(旧:Twitter)のDMなどで、よく質問などをいただきます。
私のブログではほかにもAuto entrepreneurに関する記事を集中的に執筆していますので、以下にまとめておきます。↓
少しでも問題などの解決につながれば幸いです。また何か質問がありましたらお気軽にX(ホームページにXフィードがあるので、そちらから私のアカウントに飛べます)を通じて質問いただけたらと思います。
私に分かる内容かどうかにもよりますが、可能な限り回答させていただきます。