2024年から海外在住者にとって大きな変化が起きうるマイナンバーカードの維持・取得・更新について、以前の記事からの「情報更新」+「それによるメリット」などを簡単にまとめました。
2025年末にも大きな変化が待っていますので、こちらも併せて解説していきます。
具体的なメリットとしては日本における確定申告や銀行口座の維持、身分証明書としての機能、運転免許証の更新など多岐にわたることが想定されます。
「政府やほかのサイトの説明は気難しい文言だらけで参った」と言う方は、最後まで読んでいただければこの記事のみでほとんど理解が可能です。
以前書いた記事を併せて読んでいただくとより理解が深まるので、気になる方は以下のリンクからチェックしてください。↓
2024年5月末から海外在住者がマイナンバーカードの取得・保持が可能に
まずは基本情報からです。2024年5月30日までに海外在住者によるマイナンバーカードの保持が可能になることが、住民基本台帳法等の改正で決まりました。
これにより従来であれば海外転出者(非居住者)は、日本から長期で海外に行く際には海外転出届を役所に提出し、マイナンバーカードは返納する必要がありましたが、2024年5月までには返納不要となります。
同時にマイナンバーカードを持っていない海外在住者でも、一時帰国時に役所に赴き一定の手続きをすることで取得が可能となります。
これまで海外転出者(非居住者)はマイナンバーカードの所持が完全に不可だったので、これだけでも大きな変化です。
また、“デジタル・ガバメント実行計画”において「日本国政府が発行したカードであることの券面表記、西暦と和暦との二重表記、氏名のローマ字表記について、2024年からのマイナンバーカードの海外利用開始に合わせた運用開始を目指す。」とされており、希望者に対して氏名のローマ字や西暦生年月日の記載を可能にし、海外でも日本が発行したIDとして明確に示せるような動きが進められています。
更に2025年度までには、海外にある大使館や総領事館といった在外公館でマイナンバーカードの申請・取得ができるように、2024年以降にシステムなどの整備が行われる予定です。
簡単にまとめると以下のようになります。↓
・海外在住者がマイナンバーカードの維持が可能 |
・海外在住者が一時帰国時に役所でマイナンバーカードの取得が可能 |
・新たな制度が施行され、海外にある在外公館でマイナンバーカードの申請・取得・更新が可能に |
海外在住者がマイナンバーカードを持てることによるメリット
2024年5月30日以降、海外在住者にマイナンバーカードを持たせることによって「各種行政手続きのデジタル完結」や、「年金といった社会保障などの税制に関して活用」などの面で充実させようとしていることが、「デジタル庁 マイナンバー法の改正事項」における記載内容で分かります。
海外在住者もこの流れで、マイナポータルにアクセスしてオンラインで各種証明書や申請などができるようになると、これまで日本の家族に証明書などを代理取得し、海外に郵送してもらっていたところをオンラインで完結させられるようになるのです。
それでは海外在住者がマイナンバーカードの取得・保持ができると、具体的に何が大きく変わるのか挙げていきます。
マイナンバーカードがあれば海外から確定申告も可能
海外在住者のマイナンバーカードには海外の住所が記載されるため、それらをもとにe-TAXで海外から確定申告をすることも可能です。
海外在住者であっても基本的に国内源泉所得があったり、不動産所得があったりする場合は日本で確定申告をしなければなりません。
こういったケースでもマイナンバーカードがあればオンラインで申告手続きができるため、「納税管理人」を立てたり、毎年一時帰国をして自ら確定申告を行ったりする必要もなくなります。
海外在住者の確定申告・納税などに関連することで不明点があれば「税理士ドットコム」がおすすめです。
私も利用したことがありスムーズに受け答えいただけましたので、是非気になる方は利用してみてください。
海外在住者がマイナンバーカードで銀行口座を維持
以下にある記事でも紹介していますが、海外在住者(非居住者)になると基本的に日本の銀行口座の維持は難しくなります。↓
仮にグレーな状態(銀行側に海外転出したことを知らせずに、実家などを現住所に設定している状態)で維持できたとしても、銀行からの「登録情報の更新依頼」などで身分証明書の提出や、マイナンバーの提示を求められた際には現住所などの証明は難しいです。
また、海外在住者(非居住者)はクレジットカードなどに関しても所持していることが難しい状況があります。
しかし海外在住者でもマイナンバーカードを取得することが認められれば、銀行にもマイナンバーカードの住所や名前などが提出でき、クレジットカード会社にも同様なことが可能となります。
このためどうしても日本の銀行口座やクレジットカードを維持しておきたいがために、不安を抱えたまま海外生活を送っている海外在住者でも、マイナンバーカード1枚でその不安を解消できる可能性が高まるのです。
更に現状では、ほぼ全ての日本の銀行において海外送金をしようとすると、マイナンバーカードの提出が求められるため送金自体が難しくなっていますが、この問題も解決する可能性が高いです。
これにより海外送金もスムーズに行える日がくるかもしれません。
ただ、これらには1つデメリット(後ろめたいことをしている場合)のようなものも存在します。
海外においてグレーな状態(日本の銀行口座で報酬を得ているのに税申告していないなど)でフリーランスとして働いている方などが、マイナンバーカードを各種サービスにいわば紐づけることで、当局がお金の動きや納税状況などをこれまで以上に把握しやすくなるということです。
海外在住者がマイナンバーカードを保持できることによって各方面で利便性が高まることが想定されますが、当局にとってはそういったことを提供する一方で、海外在住者であっても税金やお金の流れを確実に把握する意図も窺えます。
マイナンバーカードと運転免許証の一体型で免許更新も可能?
政府はマイナンバーカードと運転免許証について「2024年度末までの少しでも早い時期に一体化の運用を開始する」としており、海外在住者がマイナンバーカードを取得・保持できるようになる2025年度頃には、それが実現していると考えられます。
ここから「2025年度までに海外在住者が保持するマイナンバーカードは、一体化すれば運転免許証としても機能する可能性が高い」と認識することが可能です。
これまで海外在住者が運転免許証を更新する際には、一時帰国するしか方法がありませんでしたが、マイナンバーカードと運転免許証が一体化して、マイナンバーカードが在外公館で更新することが可能になるのであれば、運転免許証の更新も可能になることも考えられます。
これは海外在住者が大きく期待することの1つでもあると言えるでしょう。
海外在住者のマイナンバーカードが身分証明書の1つに
これまで海外在住者(非居住者)の身分証明書(本人確認書類)の1つとして使用できていたパスポートですが、2020年2月4日以降に発行されたものからは住所記載欄がなくなりました。
これにより海外在住者で運転免許証を持っていない方は、身分証明書(本人確認書類)として使えるものがない状態です。
ここで海外在住者でもマイナンバーカードが取得・保持できれば、身分証明書(本人確認書類)として提示できるようになり、一時帰国時に役所で戸籍謄本の取得がスムーズできたり、本人確認が必要な国内サービスの利用ができたりする可能性が高まります。↓
銀行口座やクレジットカード、各種サービスの利用に関しては、「マイナンバーカードを持つ海外在住者なら利用可能」といったように、法令や各社の規約の改定などが必要です。
しかし、海外在住者がマイナンバーカードを取得・保持できるだけでも、各種サービスや税申告(確定申告)、社会保障に関する手続きなど、利用範囲が大幅に広がることが期待できます。
「デジタル庁 マイナンバー法の改正事項」にある閣議決定など以外は、まだ制度の施行などはされていないため、今後発表される情報にも注視していく必要があるでしょう。
海外在住者のマイナンバーカード取得・保持に関連した新しい決定事項や法制定、法施行などがあれば順次、紹介・解説していきます。