海外から完全帰国する際にはさまざまな手続きが必要となりますが、その中でも重要なものの1つと言えば税金の手続きです。
海外在住で仕事をしている方は海外の企業から雇用されている若しくは日本企業と取り引きしているケースなど、さまざまだと思います。
それぞれの状況によって異なりますが、基本的に海外で納税しなければならない場合は完全帰国前に申告を全て済ませる必要があります。
今回は完全帰国時における海外での税関連手続きや、給与や報酬の受け取り方の注意点、帰国後の日本での課税対象などについて紹介します。
ちなみに海外関連の税金の手続きや申告などについて、あまり知識がないと「何か法に触れるんじゃないか」と不安になる方がいると思います。そういった方には初めてでもそれぞれの状況などに合わせて税理士さんを検索し、気軽に質問できる「税理士ドットコム」がおすすめです。
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海外から完全帰国する際には税金の処理を確実に実施
海外在住かつ現地の企業で勤務している場合は現地で税金を納める必要があるので、完全帰国する前に必ず納税手続きを済ませるようにしておきます。
この納税手続きに関しては現地での方法が異なるため、現地の勤務先企業に問い合わせるか国際的なお金の流れに詳しい税理士さんに質問すると良いです。
完全帰国前に納税処理や手続きを済ませておかないと、帰国後の日本の住所へ手紙が届き、海外と納税に関するやり取りを行う必要がでてくるため、より時間や手間がかかってしまうので注意が必要です。(場合によっては国際電話によるコストなども負担になります。)
特に国際的な税関連の条約などを結んでいる国であれば、帰国後の住所を捕捉することは簡単なので「完全帰国したら追跡してまで手紙や督促状などが届くことはないだろう」と思い、税関係の手続きや納入をせずにいると必ず書類が届くことになります。
完全帰国後に振り込まれた給与、どの国に課税されるか確認を
次に海外で得ている給料や報酬について、仕事を辞めるのは帰国前だったとしても、給料の締め日などの関係で受け取りが完全帰国後になることもあります。
日本の税法上においてお金のやり取りは発生主義(取引が発生した時点で費用と収益を計上するという考え方)となるため、居住者として給与を受け取った時点で課税対象となります。
下の画像にも示した通り、例えば海外で1月に仕事を辞めて2月上旬に完全帰国し、2月下旬に給与が支払われた場合は、2月下旬時点では日本に住民票のある「居住者」扱いとなるため、海外での給与や報酬も課税対象となるのです。↓
しかし海外の現地国の銀行などで給与や報酬を受け取っている場合や、海外企業が支払った給与や報酬なので、その現地国でも課税され二重課税の状況になる可能性があります。
そういったケースでは租税条約に基づき、納税前であれば「居住者証明書」などの関連書類を海外当局に提出して課税対象でないことを認めてもらうことも可能です。
また、仮に課税されてしまい納税したあとであっても一定の手続きを行うことで還付請求が可能な場合があるため、ご自身で調べられるか税理士さんに質問すると良いです。
このブログでも「租税条約」や「二重課税」、「還付請求」に関する記事がありますので、気になる方は是非、以下のリンクからご覧ください。↓
給与などの支払いを受けてから完全帰国したほうが無難
急に帰国時期が決まったのであれば仕方ありませんが、そうでなければ海外で仕事を終えてから給料や報酬を受け取ってから税金関連の処理や手続きを済ませて帰国するほうが、海外の国と日本から課税される「二重課税」の状態を解消するための手続きが避けられます。
また、租税条約に基づいてその時点での居住国(住所)を証明する「居住者証明書」を提出することで、海外に銀行の普通預金を保持している問題が明るみにでる可能性もあり、完全帰国という忙しい時期であるにも関わらず余計なトラブルになりかねません。
ビジネスを展開していて事業用の口座などでない限り、基本的には居住者以外は現地の銀行口座の開設・維持は認められていませんが、「居住者証明書」を提出(日本から居住していた海外の国に「現在は日本在住です」と申告)することで、「なぜ完全帰国しているのに銀行を維持しているのか?」と銀行から不審に思われ、最悪の場合は口座凍結にもなり得ます。
二重課税を防ぐために「居住者証明書」などの書類を提出したのにも関わらず、その結果海外に残しておいた貯蓄や資産が凍結されたら元も子もないので、こういった事態を避ける意味でも税金などの手続きなど、全てを済ませてから完全帰国することをおすすめします。
ちなみに完全帰国する時期などによっては健康保険料の支払額や国民年金の納入時期が異なることがあります。詳しくは、以下の記事で紹介しています。↓
以上、完全帰国の際の納税先の国や手続き方法など、不明確に処理をしていると後々大きな問題に発展するので、不明な点があれば必ずその領域のプロである税理士さんに相談しましょう。
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