みなさんこんにちは!
Passing Note(パッシングノート)のWataruです。
インボイス制度が施行され、さまざまな業態の個人事業主(フリーランス)が対応に四苦八苦していることかと思います。
各メディアにおいてどういった影響などが各方面にあるのか報じられている中で、クラウドソーシングサイトについては情報が少ないように思います。
そこで今回は、これまでフリーランスとして活動していき、国内で独立若しくは海外移住を目指す入口としてクラウドソーシングサイトを紹介している私が、「仕事を依頼するクライアントと仕事を受注するワーカー、そしてプラットフォームが同制度においてどのような関係にあり、インボイス(適格請求書)の発行などを行っているのか」、さらには「クラウドソーシングサイトにおいても免税事業者の報酬額が減っているのか」などについて紹介します。
いくつかのクラウドソーシングサイトでは「媒介者交付特例」のもとに、インボイス制度に対応してワーカーに報酬を支払っていますので、同特例についても解説していきます。
因みにこの記事を読んでいただければ、海外在住者でもインボイス制度施行後にクラウドソーシングサイトを通じて仕事の受注が可能であることも分かっていただけると思います。
クラウドソーシングサイトではインボイス制度で報酬額が減少
結論から言ってしまえば、「クラウドソーシングサイトでは報酬額が実質的に減っているケースが多い」です。
全てのクラウドソーシングサイトではありませんが、免税事業者への報酬が支払われる際に、そのプラットフォームの仕入税額控除が制限される金額(現在の経過措置では報酬額の20%)を支払わなければなりません。
ただクラウドソーシングサイトがインボイス制度のもと、報酬額を減らしていると言うと語弊がありますので、媒介してクライアントとワーカーのために、このような対応をしていると表現したほうが正しいのかもしれません。
以下、インボイス制度でどういった理屈のもとに、実際にどれくらい報酬が減っているのかについて触れていきます。
クラウドソーシングサイトで適応、インボイス制度「媒介者交付特例」
クラウドソーシングサイトには「クラウドワークス」や「ランサーズ」などがありますが、仕事を受注する方(ワーカー)がプラットフォーム上での自分の立ち位置について調べると、委託販売業者や購入者、委託者や受託者など、さまざまな言葉がでてきて混乱する方もいると思います。
ワーカーの立場的にはAmazonや楽天市場のような感じになると考えればイメージしやすいです。
同じ考えで照らし合わせると、クラウドソーシングサイトに個人が商品を載せて販売してる商品があり、そのプラットフォームを使って、クライアント(仕事を依頼する側)が商品検索・購入するといった流れとなります。(クライアントが仕事を掲載しているケースでは、ワーカーが仕事を受注して、商品を納品するといったイメージです。)
Amazonや楽天ではインボイス(適格請求書)が、プラットフォーム側から発行されますがクラウドソーシングサイトの場合も同じです。
売り手と買い手の間に媒介業者を挟んで取引を行っている場合に、媒介業者が売り手に代わって適格請求書を発行できる制度「媒介者交付特例」があり、要は“媒介するプラットフォームが代わりに適格請求書を発行できますよ”というものになります。
難しい記述がありますが以下、同制度についての国税庁のURLを貼っておきますので、ご参考にどうぞ。↓↓
この制度を適応すると、プラットフォーム側がクライアントにインボイスを発行します。
そのため、ワーカーが免税事業者でインボイスの発行が不可であっても、クライアントが受け取るのはクラウドソーシングサイトからのインボイスになるので免税事業者が特段対応することはないとされています。
また、クライアントも取引相手が免税事業者であっても、クラウドソーシングサイトからインボイスが発行されるので仕入税額控除が行える仕組みとなっています。
クラウドソーシングサイト側が仕入税額控除できないため報酬が減る
では免税事業者がクラウドソーシングサイトを使用して仕事を受注aしているとなぜ報酬額が減るのか、その答えは「同プラットフォーム側が仕入税額控除できないから」ということになります。
クライアントは消費税込みの報酬額をクラウドソーシングサイトに支払い、クラウドソーシングサイトはそれを預かって、ワーカーへ支払いを行います。
多くのクラウドソーシングサイトでは、クライアントが消費税10%を上乗せして報酬を払う仕様になっており(消費税を支払わない取引ができないところが多い)、プラットフォーム側からクライアントにインボイスが発行されるため、免税事業者のワーカーは問題なく仕事が受けられるようになっています。
しかし、このままではクラウドソーシングサイト側が仕入税額控除ができないので、その制限に対応するために、プラットフォーム側は仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置の額(現在は20%)を、報酬額から差し引く対応をしているのです。
これに加えて以前から存在するプラットフォームのシステム利用料(プラットフォームによりますが、報酬額の約10%から20%)が差し引かれます。
なので、11,000円の報酬を得た場合↓↓
・仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置の額1,000円×0.20=200円
・システム利用料:10,000円×0.20%=2000円
・合計差引額:2,200円
となり、システム利用料に200円が上乗せされて差し引かれることとなります。
プラットフォームによって差がありますし、差し引かれないこともあるかもしれませんが、こういった対応をしているケースもあるという一例です。
上記の例では報酬額が税込み11,000円なので額が少ない分、差し引き額も少ないと感じるかもしれませんが、桁が変わるとその額も一気に上がるので、免税事業者には大きな痛手になっているのかもしれません。
インボイス制度のもと、課税事業者にならずに免税事業者のままだと、仕入税額控除ができないので、「値引きを求められた」という話をニュースなどで見かけた方もいらっしゃると思いますが、クラウドソーシングサイトでも仕入税額控除ができないための措置なので、ワーカーの中には「値引きのような対応」と考える人がいてもおかしくないでしょう。
クラウドソーシングサイトでは免税事業者の仕事が減ることはなさそう
「免税事業者であることでワーカーの仕事が、クラウドソーシングサイトで減るということが起きるのか」という疑問もありますが、それはあまりなさそうだと思います。
クラウドソーシングサイトではインボイスに登録しているか否かの申請をするところがほとんどですが、登録番号や住所などが知られることは基本的にありません。
また、仕事を依頼するクライアントからはワーカーが課税事業者・免税事業者どちらであっても、消費税込みで報酬の支払いが必要で、前述の「媒介者交付特例」もあるため、どちらのワーカーに依頼しても利益や控除額などに変化はありません。
免税事業者がクラウドソーシングサイトから、仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置の額を差し引かれることを受け入れれば、仕事は受注できますし、その数も減ることはないと言えます。
また、クライアントとワーカーが、報酬の支払いの面では直接やり取りをしないため、実名や住所などの公開がなく、匿名性が守られることはクラウドソーシングサイトを利用して取引をする1つのメリットと言えるでしょう。(インボイスの登録番号が分かれば、名前や事業所などが調べられるため。)
海外在住者はインボイス制度施行後も引き続き受注が可能
以上のことから、インボイス登録ができない海外在住者(非居住者)でも、引き続きクラウドソーシングサイトを通じて仕事の受注が可能となります。
因みに過去の記事で解説しているように、“基本的に”非居住者は日本の銀行口座の維持が認められていないため、報酬の受け取りが日本の銀行口座のみに対応しているクラウドソーシングサイトの利用はできません。
中には特別に報酬の受け取りにPayPal(ペイパル)などを設定できるところもあるようなので、海外在住者でクラウドソーシングサイトを通じて仕事を受注したい方は、運営に直接問い合わせてみると良いです。
最後におすすめの税理士と会計ソフトを紹介
国内海外問わず税務関連、納税に関する疑問などについては、素人に質問するよりもプロである税理士に聞くのが確実です。
それでも自身に合った税理士をどうやって見つけたら良いか分からない、初めて質問をするので何かと心配と考えている方は、“ みんなの税務相談”の内容などを無料で公開している「税理士ドットコム」がおすすめです。
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海外移住をする際や、海外在住で個人事業主(フリーランス)として活動を始める際など、税金に関する相談ができて不安を取り除くことが可能です。
また、会計ソフトは各社様々で悩むと思いますが、ダントツでコレと言うなら青色申告は弥生の「やよいの青色申告オンライン」、白色申告は「やよいの白色申告オンライン」など、弥生のクラウドシリーズしかありません。
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これからクラウドソーシングサイトを利用しようと考えている方、既に利用している方などにとっても、「電子帳簿保存法」にも対応しており、利便性の高いサービスとなっているので是非一度確認してみてください。
それでは、À bientôt!!!